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もちろん、この単位というのが遺伝子である。

当時はまだ細胞のなかの染色体が発見されていなかったことが、彼の理論を評価できなかった最大の原因だといわれる。 染色体という名称は、色素で染めて観察できるところに由来しているが、見つかったのは1888年になってからである。
細胞のなかには、ヒトの場合、23本で遺伝的にフルセットとなる染色体グループが、精子由来のものと卵子由来のものが2セット分の406本含まれている。 同じ遺伝情報をもつ染色体が2本ずつ対をなして、それが23対あるともいえるだろう。
Mが発見した遺伝単位は、対をなしている2本の染色体それぞれに乗っている遺伝子で、Aは優性の遺伝子、aは劣性の遺伝子であることを確認したことになる。 それでもまだ、遺伝子とはどんな物質で、どんな構造をしているのかといった、正体については不明だった。
その構造が、二重螺旋の構造をもつDNAであることを明らかにしたのが、アメリカ人のJとイギリス人のFである。 11人はケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所の研究員だった1953年に、のちに「ワトソン=クリック・モデル」と呼ばれるようになるDNAの構造模型を確立して、1962年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
彼らの発見によって初めて、遺伝子の正体は二重になったDNAの鎖で、螺旋状に折り畳まれた構造であることを確定したのである。 遺伝情報と突然変異ごくふつうに「遺伝」というと、顔つきや体格などの外見や、いわゆる体質などの形質が、親から子へと自動的に伝わることをさす。
この遺伝情報をもつ単位が遺伝子と呼ばれるもので、卵子や精子という生殖細胞には必ず含まれていて、親から子へと伝えられていく。 この遺伝子の正体ともいえる物質が、細長い鎖状の高分子化合物のDNA(デオキシリボ核酸)である。
ちなみに、「遺伝子」と「DNA」の関係は決してわかりやすいとはいえない.その理由は、何らかの遺伝情報をもつ″因子の概念″として遺伝子という言葉が使われ、遺伝情報をもつ″具体的な物質″としてDNAという単語を用いることにあると思われる。 「××遺伝子」といった場合、必ずしも具体的な構造や染色体上の位置がわかっているわけではなく、間違いなくDNAの一部に記録されている遺伝情報、という意味で使われる場合が多い。
もちろん、遺伝子治療のときなどに用いられる遺伝子は、DNAから取り出された物質を示しているが、「いろいろ調べた結果、遺伝することが明らかになった情報」程度に使われるケースが珍しくないのである。

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