利益の方も10の赤字というのは10の減価償却費を計上したために生じたもので、現金ベースで見ればゼロでいいはずです。
そこで、利益と固定資産取得の双方に減価償却費の10を戻してやる、つまり「非資金損益項目の調整」を行うことによって、減価償却をしなかった場合とおなじキャッシュフロー計算書(間接法)を得ることができます。
しかし、利益の数字を動かすと損益計算書の利益と合わなくなりますので、利益はそのままにしておき、別に減価償却費という項目を設けて示すわけです。
その結果、キャッシュフロー計算書(間接法)は次のようになります。
比較しやすいように先に作った減価償却がない場合のキャッシュフロー計算書(間接法)と並べて示します。
これで分かるように、減価償却費が積極的に資金調達になるというのではなく、現金ベースでみればいわば不当に陥没している利益を埋め戻すという意味で減価償却費が資金の調達になるということなのです。
この例でいえば、本来現金ベースではゼロでいいはずの利益を、利益10と減価償却費10に分けて表示しただけのことです。
会計の本などで、「減価償却費は増資や借入れによって企業外部から資金を調達したのと同じ効果を発揮する。
減価償却費は企業規模の拡大を可能にする自己金融力を持つ」といった説明を目にすることがありますが、誤解しないでください。
自己金融力を持つのはあくまで減価償却前利益、つまり現金ベースの利益です。
その現金ベースの利益を、たまたま利益と減価償却費という項目に分けて示しているだけのことなのです。
減価償却前利益が出ていなければいくら減価償却費があっても自己金融力はありません。
また、減価償却費を増やしただけではその分利益が減るだけで、自己金融力が増えるわけではありません。
上の例では10の減価償却がありますが自己金融力はゼロです。
減価償却の方法ここで、本来の話の流れからはちょっとそれて減価償却の方法について解説しておきましょう。
あらためて減価償却を定義すると、「1年以上にわたって使用する原則として100,000円以上の資産は固定資産に計上し、一定の年数に割り振って費用化する。
この費用に割り振ることを減価償却という」ということになります。
理屈からいえば、固定資産を使うと年々減耗していくのでその減耗分を費用として認識する、ということです。
償却する年数を、償却年数とか耐用年数といいますが、これは固定資産の種類ごとに法人税法の関連省令で定められています。
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